日本財団 図書館


 

オーソリティー自身も、1998年までの期間、数々の公共事業を行う。主なものは次の通りである。

 

・混雑箇所解消のためのプロムナード拡張、低いタイダル・デッキ及び停泊施設の改良により、ウォーター・フロント地区を改善する。
・歩行者が出入りしやすくし、既存のプラザ・エリアをグレードアップする。
・ダーリング・ハーバーを囲むループ道に広範囲に植樹を行う。

 

残った民間開発も順調に行われ、オーソリティーは1998年にダーリング・ハーバーの開設10周年記念を祝うプログラムも無事に成功することを確信しており、ダーリング・ハーバーは間違いなく2000年オリンピックに向けてのショーケース的役割を果たす事になる。

 

学ぶべき教訓
ダーリング・ハーバーが他の類似したプロジェクトなどと異なる点は、それを支える強力な法的枠組みがあったことである。オーソリティーが土地所有者であり、開発権も保有している。州政府の環境、プラニング、文化遺産などに関する規制はことごとく免除されている。環境影響評価報告書や公共審議も必要がなかった(現在、オーソリティーでは自発的に公共審議を行っている)。

 

オーソリティーは自らのプロジェクトに対して開発の合意を誰に求める必要もない。

 

ダーリング・ハーバーにはゾーニングや建築について規制がない。開発地区に関する規制はオーソリティーが地区ごとに決定した。

 

民間開発プロジェクトの建設認可は、地方自治体の当該部局が業務に必要な技術と経験を備えているとして推薦した専門認定者を採用して、「利用者負担」を基本に、開発業者に与えた。

 

以上の理由により、ダーリング・ハーバーのプロジェクトは個性的で柔軟性のあるプラニングによる画期的な設計と建築の見本となった。

 

賃貸交渉の問におおよその土地使用と建設形態が取り決められるため、開発申請がオーソリティーに提出される際には、ほぼその詳細は決定していた。

 

見積もりの時間が短縮され、設計上の問題が生じた時にも柔軟に対応できるため、かなりコスト効率の高いシステムになり、建築物の質も向上した。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION